2012年12月10日月曜日


深読みサーファーズジャーナル2012、その一
Vol21.3 Gows boatshed「ガウのボート小屋」
 1964年にオーストラリア初の世界チャンピオンになったミジェット・ファレリーによる書き下ろし。国民的ヒーローとなった筆者が、静かな生活を求めてホエールビーチに移ったところからこの文章は始まります。内容はかの地の波やサーフィンと共に生きる人々から、ミジェット自身のサーフィンに対する深い愛情とその思いについて書かれています。当時ミジェットの人気は凄まじく、ビーチを歩くだけで黒山の人だかりだったとか。それを避けるために髪を黒く染めたという逸話もあります。有名人に起こりがちな災いを経験した彼は、メディアが大の苦手となり、隠遁者のような生活を送ります。つまり彼はトレンドに迎合しなかったため、独自性が強くその傾向が文章にも表れています。たとえばターンをスイング、波のブレイクする様子をローリングとしています。たしかにロングボードの大きなターンをスイングとは言い得て妙です。(ミジェット・ファレリーについてはこの号の編集後記を読んでいただけると彼の人となりそしてこの記事の価値がよく理解できます)
 ちなみに恥ずかしながら、僕の訳した文章は翻訳というよりは抄訳、つまり文章校正の必要がないほどに完璧ではないし誤訳もあります。それを編集部が英語と日本語の両面からブラッシュアップします。じつは日本語の題名を僕は「ガウのボートハウス」としたのですがが、直訳では「ガウの船小屋」が近い。しかし小屋ではイメージが違うし、ボートシェッドだと何のことか分らなくなる。かといってボートハウスでもないと編集部内ではかなり意見が分かれたようです。日本のサーファーに親しまれるように訳すという重要な目的もある日本版の編集作業。ときにはネイティブが読んでも意味の不明な文章も登場します、やはりサーファーです。


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