2013年12月30日月曜日

グレックロングの事故を考える



reference:Surfer May 2013 In harm's way by Bread Melekian

My point of view


コルテツバンクで事故に遭ったグレック・ロングの記事を読んで

 2012年の21月22日、というと今からおよそ1年ほど前になるが、コルテツバンク(CAから100マイル沖にあるビッグウェーブポイント)でグレッグ・ロングがサーフィン中にワイプアウトして波に巻かれ溺死寸前のトラブルに遭った。その記事が米サーファー誌の五月号に掲載された。事故の原因はグレッグ本人のワイプアウトなのではあるが、じつはその波にギャレットマクナマラがドロップインしていたのだ。ディープなポジションからテイクオフしたグレッグはボトムに下りずに斜面を横切ろうとしたが、そこにギャレットがいたために行く手を阻まれたのがワイプアウトの大きな原因である。このワイプアウトは大変危険であったと推測される。おそらく最も波のパワーが凝縮されたインパクトゾーンにグレッグは巻き込まれたのだ。


 もし行く手を阻まれずさらに数メートルでも斜面を滑走できていればワイプアウトしたとしても事態はこれほど深刻にはならなかったかもしれない。グレッグたちが乗ろうとした波は5本セットの2本目の波だった。グレッグは波のトップから落下しインパクトを受けて海中深く押し込められた。渦巻く水の中では水面に浮かび上がれない、そのために安全対策として圧縮空気の入ったタンクを装着したV1というベストを装着していた。紐を引けば浮き袋が膨らむようになった装置である。だがこれが作動しなかった。そのためグレッグは自力で水面に出ようとしたがそのぎりぎりのところで次の波が彼を襲った。その衝撃で彼の肺のなかにあった貴重な空気が吐き出されてしまう。それでもグレッグは再び水面を目指したが、次の波が再び彼を襲った。そしてさらにもう一つの波が…



 グレッグ・ロングはビックウェーブサーフィンシーンにおいて最も傑出したサーファーの一人として認められている。世界1のビックウェーバーと言っても過言ではないだろう。大胆なポジションからテイクオフし巨大なバレルをメイクしてしまうアプローチは、これまでのビックウェーブサーフィンへの考え方をも変えてしまった。大胆不敵とも言えるグレッグだがその一方で彼はサーフィンの準備には細心の注意を払う。今回の挑戦には大型船をチャーターし自分を含む4人の信頼しあえるサーファー選抜した、そのなかにはシェーン・ドリアンも含まれていた。その4人をサポートする水上バイクを6台用意しそれには十分に経験を積んだ者が担当した。出港時に他の多くのサーファーから便乗を依頼されたがグレッグは安全を考慮して断ったという。現場に到着後も全員でミーティングを行い最高と最悪のシナリオを想定して綿密なミーティングを行なったという。しかし当日のコルテツバンクには他の船もやってきたがグレッグたちのようには準備してはいなかった。


 コルテツバンクは外洋に沈む岩山に巨大な波がヒットしてブレイクするポイントだ。ここでは何度もビックウェーブの記録が作られていている(トーインで75フィートの波がサーフされた記録がある。ワイメアの波の3倍に匹敵する(推定))しかしコルテツバンクは風に弱くコンデションが整いにくい、また波のブレイクも不規則なためにポジションニングが難しい、陸が見えないから待つ位置も明確に定まらないだろう。ここは以前から知られていたがパドルでのサーフィンは不可能とされていた。事故が起きた日も風が吹いていてフェイスはすでに荒れていて、グレッグは当日、最初に乗った波でも荒れたフェイスが原因でワイプアウトしていた。

 だが、私の意見でこの事故の最も大きな原因はギャレットマクナマラが乗っていたボードにあると考えている。それはウェーブジェットと呼ばれるもので、電動の推進力を持ったサーフボードのようなものだったのである。(ボードのボトムからジェット噴射のように水を吐き出す)ギャレットはその日一番沖で波を待ちその推進力を利用して波に乗っていたようだ。もし彼が普通のサーフボードで波に乗ったとしたらグレッグにも確認できただろうし(グレッグによると突然視界にギャレットが現れたと語っている)さらにテイクオフしてもグレッグと同じラインでつまり二人は平行に並んで波の斜面をサーフした可能性が高い、もしそれでワイプアウトすれば少なくともインパクトゾーンからは外れることができたのではないだろうか、と私は考えている。ギャレットはコントロールを失っていて、まるで暴れ馬に跨がったような状態だったかもしれない。

 海面に現れたグレッグはすでに意識を失っていたが、迅速な対応で意識を回復し多量の血液を嘔吐した。その後五時間も待たされてヘリでサンディエゴの病院に搬送された。この事件の直後サーファー誌のウェブサイトは炎上しギャレットマクナマラに非難が集中したが、このドロップインは故意に起こしたものではなく、二人の関係に確執は無かったとグレッグはコメントしている。さらにギャレットのドロップインでグレッグは行き場を失い事故に遭ったが、ギャレットがいなければ事故は起きなかったかどうかそれは誰にも判らないととも語っている。











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